【レポート】Compute サービスのコスト最適化に向けた取り組みがわかる「Crawl, walk, run: Accelerating FinOps journey to reduce compute costs」に参加しました #CMP345
こんにちは!AWS事業本部のおつまみです。
今回はre:Invent2024のセッション 「Crawl, walk, run: Accelerating FinOps journey to reduce compute costs」 に参加してきたので、内容をご紹介します!
セッションの概要
タイトル
Crawl, walk, run: Accelerating FinOps journey to reduce compute costs
概要
Compute costs can be a significant expense for many AWS customers. In this chalk talk, learn how organizations leverage AWS tools, such as AWS Cloud Financial Management Assessment, CUDOS, Cost Intelligence Dashboard, and Optimization Hub, to reduce compute costs and identify opportunities to advance FinOps capabilities. These tools drive cost savings by enabling you to modernize, migrate, and innovate more efficiently. Discover how to transform the recommendations from these tools into a strategic roadmap, translating assessment insights into prioritized initiatives for methodically executing FinOps best practices. Optimize your compute usage and accelerate your FinOps maturity on AWS.
多くのAWSのお客様にとって、コンピュートコストは大きな出費となる可能性があります。 このチョークトークでは、AWS Cloud Financial Management Assessment、CUDOS、Cost Intelligence Dashboard、Optimization HubなどのAWSツールを活用し、コンピュートコストを削減し、FinOps機能を向上させる機会を特定する方法をご紹介します。 これらのツールは、より効率的なモダナイゼーション、移行、イノベーションを可能にすることで、コスト削減を促進します。 これらのツールからの推奨事項を戦略的ロードマップに変換し、評価の洞察を優先順位付けされたイニシアチブに変換して、FinOps のベストプラクティスを計画的に実行する方法をご覧ください。 コンピューティング利用を最適化し、AWS上でのFinOpsの成熟度を加速します。
スピーカー
- Sudhi Bhat, Principal Speacialist Solution Architect, Amazon Web Services
- James Jones, Technical Account Manager, AWS
レベル
300
Session Type
Chalk Talk
セッションの内容
アジェンダ
セッションは以下の流れで話が進みました。
FinOps maturityに関するクラウドコンピューティングのトークの目的として、以下の6つのアジェンダとして示されました。
- コンピュートのビジネス価値の最大化
- 顧客事例
- 財務的説明責任の協力体制
- コンピュート集約型ワークロードのためのデータ駆動型の意思決定
- 効率的なコンピュートによるモダナイズ、移行、革新
- まとめ
コンピュートのビジネス価値の最大化
クラウドリソースの利用コストは企業にとって大きな課題となっており、ある調査によると、クラウド支出の27%が無駄だと指摘されています。
一方で、クラウド支出全体の年間成長率は20%と予測されており、Compute サービスの利用コストが企業の最大の支出項目となっています。
このような状況の中、セッションではコンピュートサービスの価値提案と、企業内での財務責任モデルについて議論されました。
今回Chalk Talk形式だったので、講師の方から「FinOpsを実践している人?」と質問がありました。4割ほどの参加者が手を挙げ、コスト最適化への関心が高まっているなーと感じました。
FinOpsとは?(補足)
FinOpsを知らない人のために、補足します。
FinOpsとは、クラウドリソースの利用状況を可視化し、継続的な最適化を行うことで、コスト削減と収益向上を実現するアプローチです。
セッションでは、FinOpsの取り組みによって67%の企業が収益成長を実現できたという事例が紹介されました。クラウドリソースの利用コストは企業にとって大きな課題であり、FinOpsの実践がビジネス成果にも大きな影響を及ぼすことが示されました。
顧客事例
FinOpsの取り組みによって大きな成果を上げた事例も紹介されました。その事例企業は、RI/SPの購入により7か月間で2.1億ドルの削減効果を実現しています。
この成功の背景には、いくつかの要因が挙げられます。
- 無駄なリソースの削減
- On-Demand インスタンスからReserved Instancesやスポットインスタンスへの移行
- ワークロードに合わせた最適な購入オプションを選択
さらに、AWS が提供するツールを活用し、可視化とデータ分析に取り組んでいたことも大きな要因でした。Cost Explorerやコスト使用レポートなどのデータを活用し、無駄な支出を特定し、最適化につなげていったのです。
加えて、パートナー企業との連携も成功の鍵を握っていました。AWS の専門家チームと協力し、最適な設計や運用方法を見出していったのです。
このように、FinOpsの実践には、データ分析、購入オプションの最適化、パートナーとの協業など、さまざまな要素が重要となります。単一の取り組みではなく、総合的なアプローチが必要となります。
コスト最適化を実現するためには、データに基づいたアプローチが不可欠です。セッションでは、CloudWatchメトリクスやコスト使用レポートなどのデータを活用し、可視化することの重要性が強調されていました。
AWS が提供するツールとして、Cost Explorer、Trusted Advisor、Compute Optimizerなどが紹介されました。Cost Explorerは、コスト推移の可視化や、購入オプションの最適化提案などの機能を備えています。一方、Trusted Advisorは、リソースの適正化に関する提案を行ってくれます。さらに、Compute Optimizerは、ワークロードに最適なインスタンスタイプを特定してくれるツールです。
これらのツールを活用することで、無駄な支出を特定し、最適なリソース構成を見つけ出すことができます。ただし、これらのツールはあくまでも基本的なものであり、より高度な分析を行うには、サードパーティ製のツールも検討する必要があります。
財務的説明責任の協力体制
FinOpsの実践には、組織文化の変革も不可欠です。従来、コストは非機能要件として軽視されがちでしたが、これからは設計段階からコストを考慮に入れる文化を醸成していく必要があります。
ある専門家は、「コストは常に非機能要件として扱われてきたが、これからは機能要件と同等の重要性を持つべきだ」と述べています。つまり、コストを考慮に入れずに製品開発を進めるのではなく、コストを設計時から織り込むことが重要だということです。
このような文化変革を通じて、組織全体でコスト意識を共有し、継続的な最適化につなげていくことが求められます。
コンピュート集約型ワークロードのためのデータ駆動型の意思決定
コンピュートサービスのコスト最適化を実施していくためには、データ駆動型の意思決定が必要となります。
Cost Explorerは、コスト推移の可視化や、購入オプションの最適化提案などの機能を備えています。一方、Trusted Advisorは、リソースの適正化に関する提案を行ってくれます。さらに、Compute Optimizerは、ワークロードに最適なインスタンスタイプを特定してくれるツールです。
これらのツールを活用することで、無駄な支出を特定し、最適なリソース構成を見つけ出すことができます。ただし、これらのツールはあくまでも基本的なものであり、より高度な分析を行うには、サードパーティ製のツールも検討する必要があります。AWSでは、クラウド インテリジェント ダッシュボード(CUDOS)と呼ばれる高度な分析ツールも提供しています。CUDOSは、コスト使用レポートのデータを活用し、視覚的にコスト最適化の機会を提示してくれます。
効率的なコンピュートによるモダナイズ、移行、革新
以下のような継続的な改善サイクルが必要となりまます。
- Measure(測定)
- Optimize(最適化)
- Identify(特定)
- Innovate(革新)
- Migrate(移行)
この主要サイクルを支える2つの補完的なサイクルが存在します
Growth cycle(成長サイクル)
- コンピュートの効率的な成長
- 学習からの革新
- 新規ワークロードの特定
Optimize cycle(最適化サイクル)
- ワークロードの測定
- 効率的なスケーリング
- ROI/TCOの成果測定
このフレームワークは、顧客を中心に置きながら、継続的な改善と効率化を実現するための包括的なアプローチを示しています。各サイクルが相互に連携しながら、モダナイズ、移行、イノベーションを効果的に推進する仕組みとなっています。
まとめ
コスト最適化の重要ポイントがまとめとして述べられました。
- チーム間でコンピュートのビジネス価値を関連付ける
- 説明責任は協調的な文化の中で最も効果を発揮する
- データ重視のアプローチ
- 意思決定に挑戦し改善を行う
- 現在の状況から始めて、調整を行い、繰り返す
- 測定したものを最適化し、学んだことを適用して革新する
AWS Compute サービスのコスト最適化には、データ分析に基づいた継続的な取り組み、組織文化の変革、段階的なアプローチが不可欠だとういうことがわかりました。
おわりに
今回のセッションで、FinOpsの成熟度とCompute サービスのコスト最適化に向けた取り組みを学ぶ事ができました!
特に印象的な点だった点は「現在地点からスタートし、データに基づいた意思決定をしていく」という理想論ではなく現実的な姿勢での取り組みを推進していくことが述べられていたことです。
このセッションは、技術的な側面だけでなく、組織的・文化的な要素も含めた総合的なアプローチを提示している点で、実務に直接活かせる価値の高い内容だったなと思いました!
最後までお読みいただきありがとうございました!
どなたかのお役に立てれば幸いです。
以上、おつまみ(@AWS11077)でした!